料理献立集 寛文11(1671) 精進刺身に寒天の使用あり。
江戸料理集 延宝2(1674) 「寒てん。そのまゝ水にてざっと洗て用へし…」とある。
合類日用料理抄 元禄2(1689)
「凝(こごり)ところてん」の名で寒天の製法あり。「料理の時は水にて洗細に刻(きざみ)酒にても酢みそこにても又汁へも
入吸物に仕候時は切候て成共其儘(まま)成とも水にて洗椀へ入其上へ汁を入申候鍋へ入候へは解(とけ)申候」と見える。
茶湯献立指南 元禄9(1696) 刺身に「色かんてん」の使用あり。
和漢精進料理抄 元禄10(1697) 吸物の部に「かくかんてん口[切り] 但八月より三月までよし」の記述あり。
当流節用料理大全 正徳4(1714) 刺身に寒天の使用あり。
歌仙の組糸 寛延元(1748) 刺身に「割かんてん」「赤角てん」の使用あり。別に「寄てん」[寒天寄せか?]の名あり。
調味雑集 明和頃(1764~72) 寒天・小豆の粉・砂糖を使った水羊羹の製法あり。
新撰会席しっぽく趣向帳 明和8(1771)
煮物・(なます)などに寒天の使用あり。煮物の部に「かんてんは洗ひたるまゝ入るべし煮れば解る也」とある。寒天と水を煎じ、
冷やして固めたものが「かんてんかへし」として見え、「煮こゝりはかんてんかへしに醤油よき程に入とくと煮ひとりさまして出す也」とある。
新撰料理献立部類集 安永5(1776) 精進刺身に寒天の使用あり。
卓子式 天明4(1784) 小豆・砂糖・葛粉、うるち米の粉、寒天[夏のみ]を使う「豆砂(沙)」(ようかん)の作り方あり。
料理早指南(二編) 享和元(1801) 「金玉糖」の名あり[寒天使用か?]
素人包丁(初編) 享和3(1803) 膾(なます)に寒天の使用あり。
料理通(三編) 文政12(1829) 「梅羊羹」「柚子羊羹」「梨子羹」などに寒天の使用あり。
菓子話船橋 天保12(1841) 「金玉糖」「胡麻羹」「麦羊羹」「柑玉糖」など寒天使用の羊羹21種あり。
年代は刊行年もしくは成立年/()はふりがな、[]は文庫注
引用・参考文献
・寒天ものがたり : 和菓子原材料展 / [虎屋] , 1999.5 ( 虎屋文庫資料展 ; 第54回 )江戸時代の主な料理書に見る寒天使用例より引用